
暮らしの中に息づく
出羽三山信仰
出羽三山の主峰である「月山」に抱かれた西川町は、神のおわす場所として出羽三山信仰の聖地の一つとなっています。出羽三山信仰は1400年以上の歴史を持つ山岳信仰です。「現在」を生きる羽黒山、「過去」を死と再生として辿る「月山」、「未来」を新たな命として迎える「湯殿山」の三山を巡る「生まれ変わりの旅」として、古くから多くの方が訪れています。
この三山へいたる主要な登拝口は「八方七口(はっぽうななくち)」と言われ、西川町では大井沢、志津、本道寺、岩根沢が登拝口となっていました。特に大井沢は江戸時代、「湯殿まで笠の波打つ大井沢」と詠われたほど行者、参拝者が波のように押し寄せ、宿坊が軒を連ねるほど栄えたといいます。その際、振舞われた精進料理が山菜料理のルーツとされ、今日まで郷土の味として親しまれてきました。
出羽三山を背景に発展した修験道「羽黒山伏」には「うけたもう」という言葉があります。
これは、自然も、神仏も、起こる出来事も、すべてをそのまま受け入れるという心の在り方をあらわす言葉です。
人を寄せ付けないほど厳しい冬に積もった雪もまた、拒むべきものではなく、やがて春になればゆっくりと解け、水となって沢を満たし、田畑を潤し、里へと命を運びます。人々はこの大きな循環を肌で感じながら、自然の働きを「うけたもう」心で受け止め、身を委ねて暮らしてきました。
山の恵みも、雪の厳しさも、祈りの道の険しさも、すべてを慈しみ受け入れること。それこそが、西川町の暮らしに溶け込む出羽三山信仰の心なのです。
